「むしろ、言ってくれてスッキリしました。もう、あのことを引きずるのはやめます。私はもう後ろを振り返らない。前だけを見ることにしました」

「萌奈ちゃん、強くなったわね」

「はい。全部、リリカちゃんと出会ったおかげです」

「いいお友達ができてよかったね」

「……はい!」

おばさんに頭を下げると自転車にまたがって走り出す。

早くリリカちゃんに届けたい。

無力な私にはこんなことしかできないかもしれない。

だけど、何かをしてあげたかった。

リリカちゃんの為に、自分ができることならなんだってする。

今までリリカちゃんがしてくれた分まで、ううん、それ以上に今度は私が。

ケーキ屋さんの扉を開けると、ショーケースの前まで歩み寄る。

「これください」

私はショーケースの中の苺のショートケーキを指さした。