萌奈の体温が伝わってくる。

こうやって誰かに抱きしめられるのってこんなにも温かいんだね。

こんなにも、こんなにも……。

涙がとめどなく溢れる。

萌奈はあたしの体を何も言わずにギュッと抱きしめ続けてくれた。

しばらくすると土砂降りの雨は嘘のように上がった。

「リリカちゃん、行こう」

萌奈はあたしの手を引っ張った。

萌奈はあたしがなぜ泣いているのか、どうしてこんなところにいるのか聞こうとはしなかった。

自然とベンチから立ち上がる形になってしまったあたしは萌奈をまっすぐ見つめた。

萌奈がびしょ濡れのあたしをどこに連れて行こうとしているのか全く見当がつかない。

ただ、嬉しかった。

一緒にいてくれる人がいることがただただ嬉しくてしかたがなかった。