萌奈からのラインが届いているのに気付いていながら、あたしは未読スルーすることに決めた。
正直、読むのが怖かった。

『今回のことは故意ではないし大事にはならないから安心してね。でも、それではない問題があるの。正直に答えて。一橋さん、アルバイトしてる?』

杏奈とすずが担任に言ったんだろうとすぐに悟った。

あたしが素直に認めると、先生はハァと困ったようにため息をついた。

『謹慎処分になると思う。連絡するまで自宅待機してね』

アルバイトは校則で禁止になっているし、バレれば謹慎処分が下るというのは分かっていたしいつかこんな日が来るのは承知だった。

だけど、学校に通うためにはどうしてもバイトを続ける必要があった。

『学費は自分のアルバイト代で何とかする』

と高校入学の際に母と約束をしたからだ。

そもそも高校入学に反対だった母のことを押し切る形で入学してしまったのだから、仕方がない。

必死になって働けばなんとなかなると中学生だったあたしは考えていた。

でも理想と現実は違う。

アルバイト代だけで全てを賄うのは無理がある。

それに、母は度々電気だ水道だガスだとあたしに支払いを押しつけた。

1年の3学期の後半から学費が払うことができず滞納になっている。