私は勢いよく立ち上がり、職員室へ向かった。

「あらっ、青木さん。珍しいわね。どうしたの?」

職員室まで行き担任の先生の前まで行くと、先生は驚いたように顔を持ち上げた。

「先生、リリカちゃんのことで話が……」

「あぁ。一橋さんのこと。うん。なぁに?」

先生は体をこちらに向けた。

数時間前の一連の記憶を必死になって引っ張り出して、私は先生に伝えた。

「私のことをかばってくれたんだと思います。あれは事故なんです。故意ではなかった。それでもリリカちゃんは謹慎になってしまうんでしょうか?」

「うーん。正直ね、当事者の一橋さんと浅川さんからも別々に話を聞いたのよ。それで、今回のことは怪我も大したことないしって話になったの。でも、ちょっと違う問題が発生してね」

「違う問題ですか?」

「えぇ、これはちょっとプライバシーのこともあるから詳しくは話せないんだけど、今のところ謹慎一週間ということで落ち着きそう」

「そんな……」

「せっかく話してくれたのに力になれなくてごめんなさいね」

愕然とする私に先生が申し訳なさそうな表情を浮かべる。

「ねぇ、青木さんと一橋さんって仲が良かったのね?先生、知らなかったわ」

「え……?」

「前に青木さんの住所を一橋さんに聞かれたの。でも、プライバシーの問題もあるし町内までしか教えなかったの。彼女、青木さんの家に来た?」

私の家にリリカちゃんがサプライズで訪れ、スイーツを持ってきてくれた日のことを思い出す。