校庭で撮られた集合写真の中に私の姿はない。

写真の左上の辺りに生首のように浮かぶ私がいた。

顔色も悪くとても楽しそうではない。

私だってあの輪の中で笑っていたかった。肩を組んで写真を撮りたかった。

あんなふうに生首になんてなりたくなかった。

私は、私は、私は。

胸の奥底にある古傷がずきずきと痛む。

ごめんね。と、そっと中学時代の私に謝る。

私はまだあなたのことを見ることができない。

「そういえばさ、リリカちゃんって年上の彼氏いるよね?」

ロッカー近くでおしゃべりをしていた女子の言葉。

「そうなの?まあ、あの子のことだし遊んでるでしょ?」

「すごい年上だよ?命令されてるみたいだった」

「だったら、お父さんなんじゃない?」

「それにしては若かったんだよなぁ」

リリカちゃんに彼氏……?今まで一度もそんな話になったことがなかった。

私はリリカちゃんのことを何も知らない。

リリカちゃんは私の話は聞いてくれるし、私が困っているとアドバイスだってくれる。

だけど自分のことを積極的に話そうとはしなかった。

私はグッとスカートの上の拳を握り締めた。

ここでリリカちゃんの心配をするだけでは彼女に伝わらない。

リリカちゃんに謝りたい。こうなったキッカケを作ったのは私だ。