「いまはそういう人はいないのかもなぁ」
かも、という言い方に引っかかったけど、過去のことを探るのは良くないと思い、ただ頷くだけにした。
「青春だねえ」
にこにこと微笑む愛先生は、わたしが知っている大人の女の人のなかでいちばん綺麗で、話しやすいと思う。
たぶん、わたしの憧れ、みたいな。
女のわたしでも、先生のひとつひとつの仕草に魅力を感じて目で追ってしまう。
この学校でも、先生に『恋』という憧れを持っている男子生徒も少なくないと思う。
「愛先生は高校生のとき、恋してなかったの?」
ズバリと胡子ちゃんは聞く。
たしかにそれはわたしも聞きたかったことだから、いっしょに愛先生を見つめた。
「ん〜〜、そうねえ、たぶん、いまのゆんに似てるかもしれない」



