誘惑じょうずな先輩。



なにが、とか、だれが、とか聞くわけない。



先輩の目線が、わたしの……唇にあるから。




「欲しくなっちゃった」




だめ。


また、甘い誘惑に騙されて。



このまま、先輩と堕ちたくなる、そんな危ない思考に苛まれるから。



先輩が、子どもなんて、……ぜったい違う。



先輩は……、わたしよりも、ずっと大人だ。





「……どーしよ、」



わたしの頬に触れる手は、冷たくて。


わたしみたいに熱くなくて。



……別に、先輩が遊び人じゃなかったら良かったのに、とかは思わないけど。


その、ちょっとした言動で経験値の差を突きつけられて、
わたしじゃ釣り合わないな、とか重いこと思っちゃったりして。