誘惑じょうずな先輩。




「そーだけど。
ゆんちゃんだって、かわいー声で俺の名前、呼んでたくせにー」



それはっ……。


「お忘れください……っ、」



「ムリ、あれ、俺の心になんかグッときたし」


「そ、そうですか……、」



なんて返せば良いのかわからなくて、つれない返事ひとつ。


でも先輩はやっぱり、話すのがうまい。

わたしより一枚も二枚も上手(うわて)



「……たまんないなぁ、ほんと」



とびきり甘くて、優しくて、低い先輩の声が耳をくすぐる。



ドキドキが限界で、情けなくも指先が震えちゃう。


慣れてないから、だから恥ずかしい。



「ゆーんちゃん、顔みせて」




「……や、です」




「やじゃないの。
ゆんちゃんのかわいー顔、俺にみせて」