ドキドキとうるさい心臓。


先輩たちの圧のある視線を受け止めながら、沈黙の時間を過ごす。



な、なんで黙ってるんだろう……っ。


わたし、なにか変なこと言ったかな?



内心焦るものの、やっとひとりの先輩が口を開いた。



「バンリのこと知らない子もいるんだねぇ……」


まじまじと興味深そうに見つめられ、心臓が飛び出そうになる。


綺麗な女の人。

この人までもがいまかくまっている先輩の遊び相手、だなんて信じられない。


そういう割り切った関係なのかな。


わたしにはわかりえない、未知の世界だ。



それに、先輩のことを知らないのってやっぱり変だったかな……?

さすがに入学したての1年の中でも有名人だから。




本当は、知っています……。


そんなこと、いまさら言えるはずないけど……。