前みたいに、甘すぎる匂いはしなくて。 余韻がなくなって、ちょっと寂しかった。 「ふーん……、そういうことねえ」 先輩が去っていった扉の方をじっと見つめ、ぼーっとしているわたしに、愛先生はにやにやと笑みを零した。 「……なん、ですか」 「んー?なんにもないよー、うふふ」 なにを思われてるのか、なんて分かりきったことだったから、愛先生にじとっと湿気の多い視線を向けたあと、わけもなく、そっとため息をついた。