押しに弱い。
わかってる。
だから本当に、今回だけなんだから。
グイッと先輩の腕を掴み、カーテンのかかっているところへ押し込む。
カーテンの揺れが収まると……、案の定、彼女たちが扉を開けた。
「あ、委員の子〜〜。
バンリ見なかった?」
「今日、遊ぶ約束してるんだけど見つかんなくてぇ」
「こら、それ言う必要ないでしょ〜〜」
盛り上がっている3人の女の人には申し訳ないけれど……。
早くどこか行ってほしい。
ヒヤヒヤしつつも、なんとか冷静に口を開く。
「あの……、だれの話ですか」
知らないフリで通そう。
その方が、疑われにくいだろうから。



