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「ゆんちゃんってさ、掴めないよね」
来ないでって、言った、今日の昼休み。
なんでもない顔している先輩は、ほんっとに悪い人。
いちおう、先輩が来たとき、ちゃんと皮肉をお見舞いしてあげた。
『今日は先輩と会う気分じゃないです』ってはっきり伝えたのに、『俺は会いたかったの』って、そう言われて、なんだかんだそれ以上断れなかったのだ。
だって、…………嬉しかったんだもん。
会いたかった、なんて、告白みたいな甘いセリフ。
それで、きゅんきゅんするのは、不可抗力ってやつなんだよ。
『危ない男には引っかからないでよ』
朝、胡子ちゃんに言われた言葉を反芻する。
先輩の言動ひとつで操られてるわたしは、どこまでもチョロいのかもしれない。



