誘惑じょうずな先輩。



先輩は残念そうでもなく、なんだか楽しそう。



隣で見ていた背の高い先輩のお友だちが、
ぱちぱちと瞬きをした。



「この可愛い子も、万里の相手?」



天然なのか、わざとなのか。


そこはよくわからないし知らないけれど、その言葉にグサッと来たのは事実。


わたしが、万里先輩の遊び相手なのかって。



そう言われれば、たぶんそうだけど。


認めたくなくて、先輩にもそう言ってほしくなくて、自分がとんでもなく面倒くさい女だということにようやく気づく。



……やだ、こんな気持ち。




「あー、」



言葉を濁す先輩。


わたしの顔を見つめ、ちろっと唇を舐めた。




「この子は、そーいうんじゃないよ」




……ほっ、としたのと同時に。


じゃあ、わたしと先輩の関係の名前って、なんなんだろう、って気持ちとか。



それじゃあ、先輩にとってわたしってどういう存在なの、とか。


いろんな疑問が浮き彫りになる。