誘惑じょうずな先輩。



先輩の口からぽんぽん飛び出す言葉。


そのひとことひとことが、なぜかドキドキに変えられてしまう。



……ポニーテール、似合ってる、って。



先輩、ポニーテール好きなんだったら、ずっとしておこうかな、とか。



自分でも思ってること、意味わかんない。




「なんか、ヘンな気持ちになるかも」




わたしのくせ毛のくるくる髪を指に巻きつけ、くすくす笑ってる先輩。


ヘンな気持ち、ってなに。



やっぱり、意味わかんないの究極体、万里先輩。



「しかも体操服とか、やばい」



じーってわたしを見つめる先輩。


熱っぽい視線に耐えられなくなりそう。



けど、ひとつ気づいたことがある。

今日、先輩は遊んでいないらしい。


いつもの甘ったるい匂いはしなくて、代わりに舞うのはシトラスの香り。


それだけで、ちょっと心は軽くなった。





……にしても、先輩の放った言葉。


体操服がやばい、って。

すぐにそーゆーことと結びつけるから、呆れちゃって、恥ずかしくなって、フイって顔を背け離れていた胡子ちゃんのもとへ駆け寄った。




「あ、逃げちゃった」