そのときの恥ずかしさといったら、もう、顔から火が出るほど。
力んでいたせいもあって、肩も痛くなっちゃったし。
ほかの子は優しく笑ってくれたけど、目立つことに慣れていないわたしにとっては、苦痛の時間だった。
それを、胡子ちゃんという人は……!
にやにやといじってくる胡子ちゃんの頭に、悪魔の角が見える。
わたしが落ち込まないようにこうやって言ってくれてるっていうのはわかってるけど……。
ぷくーっと頬を膨らませ、胡子ちゃんと言い合っていると。
「……あ、ゆんちゃんじゃん」
なんと、びっくり。
廊下で万里先輩と遭遇してしまった。
あちらも移動教室だったのか、教科書類を持ち、友だちと歩いていたらしい。



