誘惑じょうずな先輩。



「心配だわ……、」



眉を下げてそう胡子ちゃんが呟いたそのとき、「集合ー!」と体育の先生の声がして、立ち上がった。



「大丈夫だよ」



一応、そう言ってみたらハイハイという表情で苦笑した。



「もしなにかされたら、わたし呼んでよ。
すぐに成敗してあげるからね?」



「う、うん、ありがとう胡子ちゃん……」



にこにこ笑ってる親友を見て、彼女に心配だけはかけさせないようにと、心に誓った。







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「いやぁ、ゆんの空振りは一生のネタかもねえ」




その後、体育の授業が終わり、廊下を歩いている途中。


わたしが気にしていることを、楽しそうにそう意地悪を言う胡子ちゃん。



「ううっ……、それは触れない約束でしょ、」


「え?あんなにスカってキレイに空振ったのに?」


「ひど……っ」




今日の授業はバトミントン。


わたしは身体を動かすの自体、苦手なんだけど、今日はいつもの2倍くらい調子が悪く(言い訳だけど)、みんなが見ている中、驚くほどキレイに空振りをしてしまったのだ。