そう思って、胡子ちゃんに、万里先輩に出会ってからにいまに至るまでの経緯(いきさつ)を話した。



途中、胡子ちゃんは開いた口がふさがらない様子だったけれど、わたしが話終えると、すぐにいつもどおりに戻った。



「なるほどね……」



あの人がね、ってどこか楽しんでるように見える胡子ちゃん。


胡子ちゃんは少女マンガをこよなく愛していて、ラブハプ大好きだから、こういうのは聞くだけ嬉しいのかもしれない。


彼女をじっと見つめていたら、胡子ちゃんは突然、顔を寄せ、神妙に口を開いた。



「……ねえ、ゆん。
まだ、先輩に手は出されてないよね?」



クラスのみんなに聞かれてはまずいと思ったらしく、小声。


そういう気遣いができる胡子ちゃんは、いちばん信頼できるお友だち。



「う、ん、かろうじて……?」



抱きしめる、とかは、セーフだよね?

破廉恥ではなさそうだし……?



そうだ、セーフセーフ。


自己暗示をかけ、曖昧な返事をする。