「……先輩って、暇なんですか」
こういうとき、まったくかわいくないことを言ってしまうのは、わたしの性格。
どうしたって、甘い言葉なんて吐ける気しない。
だから、万里先輩が好きな歳上の色気たっぷりの女の人とはほど遠いんだよ。
先輩の好みと真反対なんだから。
これ以上、夢中にさせないでよ。
わたしの気持ちなんて、なーんにも知らない先輩は、ククッと笑って言う。
「うーん、ちょっと違うんだけどなぁ」
今日、気づいたことがある。
先輩の左頬には、えくぼが住んでいる。
だからか、幼く見える先輩の笑みにはきゅんきゅんせずにはいられないんだ。
それは、無自覚だから、仕方ない。
「ゆんちゃんに会うためには、どんな時間でも割きたいっていう、謎の感情かなあ」



