誘惑じょうずな先輩。



「……なに、ゆんちゃん。
甘えたくなったの」



万里先輩の胸に顔を押し当ててすり寄れば、ちゅ、と首筋にキスを落としてゆるい言葉をかけてくれる。



あたたかい先輩の体温。


ぎゅうってしなくても、感じ取れるよ。




「……先輩。すきじゃ、足りません」




このむず痒くて表現しようがない感情は、どう言葉にすればいいんだろう。


言葉は、難しい。




どうしたら伝わるんだろうか、って考えたけれど。




「速い鼓動でわかるよ、ぜんぶ」





意地悪くそう言われたものだから、軽く先輩を睨んでしまった。


先輩は、可愛くないわたしをうんと甘やかしてくれる。




「俺も速いよ」




……うん、聞こえてる。


トク、トク、って。




わたしとおなじくらいに、高鳴ってる。



それが……、わたしの頰を緩ませる。