誘惑じょうずな先輩。



「かぜ、うつしたら、……ごめんなさい」




それだけ敬語とか、ほんとだめ。


俺、今日、びっくりするくらい余裕ないから。




もう、風邪とかどうでもいいよ。


ゆんちゃんの風邪なら喜んでもらうし。






「……いっかいだけ、だよ」





ちゅ、ってして、すぐ顔背けた。


だって、色っぽいから。ゆんちゃんが。




これ以上は禁止。



そう、決めたのに。





「ばんりせんぱい、」





グッて俺の袖を引き寄せたと思ったら。




「まだ、……寝れないもん、」





そう言って、唇を、押しつけた。




______ っ、






驚きすぎて俺、雰囲気もなく、目開きっぱなし。


だって、ゆんちゃんがこんなんだから。




……調子とが、ぜんぶ狂うんだけど。





彼女の熱っぽい頰が、さらに上気する。