誘惑じょうずな先輩。



「うー……、せんぱい」



ベッドに寝かせようとするけれど、なんだか熱っぽいゆんちゃんが上目遣いで見上げてくる。



「なーに」




ぎゅって腕にしがみついてくるし。


ありえないくらいかわいいんだけど、……大胆すぎて、困る。



俺、さすがに病人に手、出せない。




グラグラしてる俺の気持ちはつゆ知らず。

じーっと大きい瞳が、俺を見つめる。






「すき」





「……は、」





……なに、これ。




まって、ゆんちゃんってこんなキャラだっけ。



死ぬ、まって、きゅん死する。




ゆんちゃん、風邪引いたらこんなんなるの?


そういえば……、ゆんちゃんの住所を教えてくれたとき、ココちゃんが意味深なこと言っていたのを思い出す。




『先輩、我慢が大切です』




にこって微笑まれて、そのときはよくわからなかったけど……。


いま、すっごいわかる。