誘惑じょうずな先輩。



「あとでゆんの家、教えますね。
……じゃ、夏川戻ろ」


「自由人かよ」




ココちゃんのほうが主導権はあるのか、ぺこりとお辞儀して、夏川くんを引っぱって教室を出て行った。



……嵐がひとつ、去ったみたい。


よけいな体力使った気がして疲れたけど、ゆんちゃんのこと考えたら吹っ飛んだ。




「はあ……、ゆんちゃん大丈夫かな」



寂しい、か。


うん、かわいいまじで。





「……見てて熱いわ」




矢倉はもう、苦笑して言う。


熱かろうがなんだろうが。



ゆんちゃんに会うまで授業がんばろ、そう思った。