誘惑じょうずな先輩。



グッと親指を立てて満足そうな顔をしてるココちゃんに、ありがとう、って微笑んだら彼女、なぜか少し目をそらした。


どういう感情かわからなくて首を傾げたら、夏川くんがとたんに嫌な顔をしたものだから、よけいに意味わかんない。



「先輩、そういうの、やめてくださいよ」


「はあ?」



そういうの、ってなに?



「先輩、無自覚に人惚れさせてるんですよ」


「はあ、」




ぐるぐる考える。


……あ、わかった。


そーゆーことか。




「だいじょーぶ、俺、ゆんちゃんだけだから」




夏川くん、ココちゃんお気に入りなのか。


なるほどね、だから変に構うなってこと。



ふーん、ちょっと面白いかも。




ココちゃん、俺なんてタイプじゃないでしょ。


人の恋路って、なんかむず痒いね。