誘惑じょうずな先輩。



「それがですね、……見てください」



なんだか嬉しそうに見せてくれたのは……、スマホの画面。


なんだろう、と覗きこむと、なにやらゆんちゃんとのメッセージのやりとりらしい。



ここ、と指さされたところを見る。





“ ううー、……家、だれもいない、寂しい ”





「……うわ、かわい、」




ちょっと、それ、俺には送られてきてないんだけど。



こんなんきたら、即飛んでく。


文字だけでかわいいとか、もはや罪。




「……ということで、親もだれもいないらしいですよ。まあ、ゆんの親は共働きなんで」


「へえ、」



「こんなときこそっ、バンリ先輩の出番です!」




ビシっと指さされて、よくわからぬまま、とりあえず頷く。



……なんか、この子、個性的。




後ろのほうでくすくす笑ってるし、おい、矢倉。