誘惑じょうずな先輩。



あーあ、夏川くん来ちゃった。


あんまり関わりたくなかったんだけど。




「……うわ、バンリ先輩、俺見てすっごい拗ねてんじゃん」


「拗ねてないし」




「やめてくださいよ、俺、別に香田さん好きじゃないんで」



「……あっそ」




なんかその言い方、ゆんちゃんに魅了ないみたいじゃん。


ちょい腹立ったけど、まあ、ゆんちゃんに興味ないなら俺からしたら朗報なわけで。




そこは気にせず流すことにした。





「あのー……、ゆんに会いたい、んでしたっけ?」



夏川くんと適当に会話してたら、ココちゃんが遠慮がちに尋ねてきた。


そうだ、呼び出した目的、忘れかけてた。





「そう、ゆんちゃん風邪引いてるみたいだから。

……けど、親御さんいたら迷惑でしょ、」




そこ、大事。


変に押しかけたらイメージ台無しになるじゃん。




ゆんちゃんとの関係が雲行き怪しくなるのは避けたいから。


けれど、そんな心配は不要だったらしい。