誘惑じょうずな先輩。



……わからない、なりにやればいいんでしょ。


先輩はきっと、わたしはやらないって踏んでるんだ。


だから、主導権は万里先輩。




……そんなの、悔しいもん。




「せ、先輩」


「うん、なに」




「…………ば、」


「うん?」




「ば、万里、」



「……、」




知ってる。

先輩が、呼びすてに弱いって。



さすがに、まだしたの名前はムリだ。


けれど、これの効果は絶大って、最初の頃知ったから。



先輩が、ちょっとわたしから距離を取る。



わたしが、その距離をつめて、先輩を見あげる。






「___ キス、したい」




もう、どうにでもなれ……って感じ、だけど。


割と、本気で恥ずかしい。





なんだか涙が出てきそうだ。


先輩、なんか言ってよ。




フリーズして固まってる万里先輩の顔をよく見たくて、もっと顔を近づける。



……けど、パッと顔をそらされた。