誘惑じょうずな先輩。



トン、と肩を押されて。

……気づいたら、先輩が、わたしの腕を掴んでベッドに……押し倒してる。


そんなに強い力じゃないはずなのに、身動きひとつ取れそうもない。


アンニュイな瞳は、いつもみたいだと思いたい、けど、真剣味を帯びていて。



待って、先輩が、……近い。




「……わかる?」


わか、らない。



「男は我慢させないとだめなの、わからない?」




「……っ、」




クイッと、先輩のしなやかな手がわたしのリボンを引っぱる。


先輩のスイッチ、……止めるとこ、どこ。




「でも、ひとつだけ、あるかも。
お願い」



「……、え」




「ゆんちゃんから誘惑……してみて?」


「そ、んなこと」





誘惑の仕方なんて知らない。


それは、先輩の役目だ。




でも……、それが先輩のお願いならって。



先輩の言葉ひとつで動かされるわたしは、ねっからの万里先輩バカだ。