誘惑じょうずな先輩。



「ゆーん、なんで顔隠すの」


「……、」



「ゆんちゃん」


「……だっ、て」



「うん」



先輩がわざと頬が熱くなることさせるから。

……先輩がかっこよすぎて見れないから。



無限に理由は出てくるけど。

……やめた。



自分から覆う手を外して、先輩に顔を近づける。



「先輩は……、わがまま、ないんですか」



わたしのわがままは聞いてもらった。


だから……、わたしも先輩のお願いを叶えてあげたい。



それが、彼氏と彼女の関係なんだと思う。



先輩はときに甘えるけど、ほぼほぼわたしに合わせてくれるから。


たまにはわたしだって、先輩ひとりのお願いくらい聞けるってことを証明したい。



急にそんなことを言い出すわたしに、先輩は戸惑ったように視線をそらす。