誘惑じょうずな先輩。



ぬるま湯につかってるみたいな感覚。


甘く溶けてく、先輩の誘い。




こんなのにドキドキしている自分が情けなくて、先輩の視線から目をそらす。



「ゆーんちゃん」



この体勢じゃ、わたしが迫ってるみたい。


なのに、なんで先輩はそんなに余裕なんだろう。



ドキドキするのは、わたしじゃなくて先輩の方だよ。



「……後輩でツンデレとか、かわいいだけなんだけど」



器用に、キレイな指をわたしの顎に添える。



クイッとわたしの顔を自分に向かせる、人の気持ちがわからない万里先輩。



「ねえ、」



「……っなんですか、」




そうやってまた、極上に甘くて、優しい声を出す。



考える脳を、溶かしてくる。





「いま、ゆんちゃんにとんでもなく“万里”って呼ばれたい」