誘惑じょうずな先輩。



許してよ、だって先輩のせいなんだから。



万里先輩は、そうしてわたしの首筋をツーっと撫でる。


こそばゆくて、思わず先輩の方を向いてしまいそう。




「……ゆんちゃんね、いっかい俺の頭の中覗いてみなよ、引くよ」


「な、んで」



「ゆんちゃん押し倒したいなー……、とか、泣かせたいなーとか、やっべーこと考えてんだよ」


「……っ、」




……ばか、ばか、先輩。




「けど、好きな子ほど大事にしたいから、怖がらせたくないから、男を見せないようにしてんの」




「ズル、い、……です」




そんなの、そんなの。

どんなに意地悪されても、余裕な顔されても。



イヤ、……なんて思えないもん。




でも、やっぱり赤い顔は見られたくなくて、先輩の胸にぎゅっと顔を押しつけた。