甘えたになる万里先輩は、途端に色気を醸し出す。
「んー……、ゆんちゃんすき、」
……、不意打ち。
顔が見えないのをいいことに、甘くて掠れた声で誘惑する。
なんで先輩はこうもわたしをドキドキさせるんだろう。
先輩にしかならないよ、こんな気持ち。
「俺、ゆんちゃん不足」
ぎゅーってしすぎて、けっこう苦しい。
不足してるのだって、わたしの方。
「なん、ですか、それ」
つっかえる言葉を待ってくれる先輩も。
ぜんぶぜんぶ愛おしい。
「……うんと甘やかしたい気分」
__ そう言うと、先輩は前触れなくわたしの首筋にキスを落とした。
ドキドキして、苦しくて。
もう心臓が出て行くんじゃないかと錯覚する。
「ねー……、こっち向いて」
向けないよ。
だって、先輩のせいで、顔が真っ赤なんだもん。
「イヤ、……です」
断ったら、諦めてくれるかなって。
そう思ったけど、わたしの考えは甘かったことを痛感する。



