パチリとウインクして、甘い匂いのするクレープを渡してくれた。
サツキ先輩は、ほんとうに素敵な人だ。
初対面のわたしに、こんなに良く接してくれる。
サツキ先輩だけじゃない。
焼いたクレープをサツキ先輩に渡した女の人も、「お幸せにね」って親指を立ててくれた。
その人が、万里先輩に最初に出会ったあのときの、先輩を追いかけていた3人のひとりだということは、すぐにわかった。
きっと、遊びだといっても、まだ万里先輩のことを好きな人もたくさんいると思う。
けれど、認めて応援してくれてる人がいる。
もうそれだけで、万里先輩に出会えて恋をして良かったって、すごく感じたんだ。
「サツキ、俺のないのー、」
「あるわけないでしょっ?!
バンリ、朝から接客ひとつもしてないくせに!」
「……だって、ゆんちゃんに会いたかったから、」
「自分で買って、クラスの売り上げに貢献しなさい」
「……、ゆんちゃん、行こ」



