誘惑じょうずな先輩。



当の万里先輩はうるさいとでもいうように片耳を抑えながら、繋いでいる方の手をクイっと催促してくる。


『早く行こ』って、手が訴えているみたいで……可愛い。



でも、いまはもうちょっと美人先輩と話したいから、万里先輩を諭して会話を続ける。




「昨日、バンリがゆのはちゃんに告白したとき、こっちがキュンキュンしちゃってさ!
キスなんてしたときは……、幸せそうで羨ましかったわ〜〜……」


「……なんでサツキが楽しんでんの」



「ほかの女子も楽しんでたよ〜〜?
バンリのくせにぞっこんじゃん!ってね」


「ゆんちゃん可愛いでしょ」




「……急な惚気やめてくれる?」




ポンポン進むふたりの会話。

楽しそうで、少しだけ羨ましい。


そしてどうやら、美人先輩はサツキさんというらしい。



き、キスまで見られていたとは恥ずかしすぎるけれど……、それを上回る言葉を聞けたから、気にしないことにする。