誘惑じょうずな先輩。



「せ、先輩は……、女の子よけ、ないんですか」



自分でもなに言ってるのか不明、だけど。


昨日、先輩と想いが通じあったからか、独占欲とかいうものが浮き彫りになってしまう。

……こんなの、みっともないし、先輩にイヤがられたら死んじゃうから、言うつもりなかったけれど。


だって、先輩、他校の女の子からも注目浴びてるんだもん。


不安に、なるよ。




先輩は、わたしの言葉に目をぱちくりさせた。



「ゆんちゃん、それヤキモチ?」


キュッと口角をあげて言うものだから、ふいっと目線をそらす。



「ち、がいます」



可愛くないわたしの言葉に、万里先輩は「そっかー」って言う。



あ、そっけなくなった……、かも。



途端に自分の天邪鬼さがイヤになって、先輩の制服の裾を引っぱった。


万里先輩は、じっとわたしを見る。



なにか言わなきゃって考えて、がんばって言葉をしぼり出す。



「……たぶん、ヤキモチ、です」



たぶん、じゃない。


確実に、ぜったい、ヤキモチだ。



けれど、そこまで素直になるのは、わたしにはまだムリだ。


そんなわたしを、先輩は……ちゃんとわかってくれている。


ぽん、とわたしの頭に手を優しく置いた。