なんてみんな優しいんだ。


ほんとはこんなふうに言ってくれても、クラスという団体だから甘えるわけにはいかないけれど……。


先輩がずっと「その格好ムリ、ほかの男見てる」とかなんとか気にしているようだから、今回だけだと約束して休憩させてもらうことにした。



わたしだって……、先輩と学園祭を過ごしたかったのは事実だから。




「ありがとーね、みんな」



クラスメイトにキラキラ完璧スマイルを残し、女の子が騒いでいるのを気にせずわたしの手を引いて教室を出る先輩。



そのあいだに、昨日とおなじく先輩のパーカーをわたしに被せる。



「これ、男よけ」



そんなことを言うんだから、なんだか胸がきゅっと締まって、先輩の背中をポコっと叩いた。