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「夏川って、……いいやつなんだ」
「はあ?」
人目のつかない階段裏まで連れていったら、宮川さんはそんなことを言う。
「だって……、わたしが目晴らしてるから、気使ってくれたんでしょ?
……理由も聞かないし、」
「ほっとけねえもん」
「……いいやつじゃん、やっぱ」
そんなことないけど。
自分がしたくてやってるだけだし。
……でも、いまから俺は優しくないことを言う。
「神田なんて、好きになっちゃだめなんだよ」
突然、固有名詞を出した俺に、宮川さんはパッと俺を見た。
なんで、と、なにが、っていろいろ混じってる顔。
……うん、俺、どーでもだけど、けっこう宮川さんタイプだったりする。



