誘惑じょうずな先輩。



「らしくないけど、まあ、いっか」



万里先輩は、クス、となにやら笑ってから、またわたしと目を合わせた。



「ゆんちゃんってさー、ガード固め?」



「え、」




ガード、固い?


それって、どういう意味だろう。



男の人に、ってこと?



「わからない、ですけど……」



キョトンとしたら、先輩は笑う。



「ほんと、慣れてる顔してんのに、そういうとこだけ超鈍感」



少しだけ、先輩はわたしの腕を引っぱった。

だけれどその力は、わたしを操るには簡単すぎて。



座る先輩に、ちょっとだけ覆いかぶさったような、なんともいえない事故な体勢になってしまった。



ドキッとした。

……距離が、近い。