誘惑じょうずな先輩。




司会の言葉を遮って、言う先輩と。



じっと、目が合った気がした。


遠いのに、そんなわけないってわかってるけど。





「____ ゆのは、」





先輩の声が、わたしを呼んで、わたししか見えないって目を向けて。


ちゃっかり本名で呼んでくるし。



いいの、わたし。

自意識過剰なんだから、先輩の言うこと、もしかしたら予想できちゃうかもなんだよ。






「……万里のお気に入りちゃん、」



近くで聞こえた、声。

硬直して動けないでいるわたしに、声をかけたのは万里先輩のお友だち。


今日も今日とてゆるい人だけど、その目は優しくて……真剣だった。




「万里が、このイベントできみに“告白”する理由、わかる?」



そんなの、わからない。


だっていま、わたしの頭のなかぐちゃぐちゃだもん。