誘惑じょうずな先輩。



きっかり、___ 30分。



さっき、会ったばかりの先輩が、舞台に立っていた。


わたしに自分のパーカーを着せたから、見慣れないきちっとした制服姿。

アンニュイな瞳。

色っぽい唇。


ぜんぶぜんぶ、わたしの大好きな万里先輩だ。



先輩が呼ばれて登場したとたん、女の子の悲鳴が相次いだ。


わかってる、先輩がどうしようもなくモテてしまうって。



だからこそ、もう、どうしようもなく独り占めしたくなる。

掴んで離したくなくなるの。





……もう、先輩は究極に、ズルすぎる。


こんなの、あわよくば……なんてものじゃない。



期待とか、もう、膨らみすぎてどうしようもないんだよ。




「さ〜あてっ、あのバンリ先輩が告白するお相……」





「___ ゆんちゃん」