誘惑じょうずな先輩。



……みんな、すごいな。


好きな相手のために、それだけだっていうのに。



……ううん、ちがう。



たったひとりが、自分の人生や気持ちを狂わせる。

いい方にも、わるい方にも。



きっと、追いかけて、けど掴ませてくれないから。

もっともっと、気になるんだと思う。



万里先輩は、いっつもそうだ。



出会ったときから謎めいていて、突拍子もなくて。


天然たらしだし、女の子の扱いがうまい遊び人だし。




かと思えば、恋を知らないなんていうし。



先輩の魅力は沼より深い。



堕ちたら、もう戻れない。





先輩の誘惑という毒には、もう勝てない。





それなら。

わたしだって、先輩を誘惑したい。



困った先輩を見てみたい。


そう、思ったのに…………っ、ほら、





「それでは、最後の告白……!
おっとぉ?!なんと、、学園を誇るモテ男のバンリ先輩じゃないですか……!!」