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連れてこられたのは、中庭。
中庭の奥にある講堂では、もうすこしで告白大会が開催されるため、こことはちがって賑やかだ。
「万里先輩、」
呼びかけたら、びっくりするくらい強い腕で抱きしめられた。
「……ゆんちゃん、ちっちゃい」
「…………え、ディスってるん、ですか」
こんなときにそんな抜けたこと言う先輩に拍子抜けしすぎて、ちょっと憎まれ口になってしまった。
わたしだって、身長伸ばしたいと思ってるよ。
だけど、伸びないんだよ。
そういう気持ちを込めて言ったら、先輩は、ほんとに久しぶりにふわって笑った。
「ちがうよ、……守りたくなるなぁって話」
「なんですか、そ、れ」
「うーん、……嫉妬?」
「わ、かんないです……」