誘惑じょうずな先輩。



儚い声でそんなことを言う。


それに、急に、クレープの匂いがするパーカーを脱いだ。



「え、せんぱ……」


「これ、着てて」



すっぽりと被らされた先輩のパーカー。

さっきまでクレープ屋さんとして接客していたからか、甘い匂いが残っている。


先輩はというと、制服だけになってしまって寒そうで……、どうしようかと迷ったけどおとなしくパーカーを借りることにした。


なんだか……、これじゃあまるで、先輩に包まれてるみたい。


……って、わたし、変態じゃん。



浮かんだ雑念を振り払って、先輩と今日はじめて、視線を合わせる。



先輩は、わたしの顔をみて、ちょっと驚いたふうに目を開かせた。



「なんでまた……、メイクとか、してんの、」


「え、あ、のナースになりきる、ために……?」



そんなに似合ってなかったかな。

悲しくてやりきれない気持ちになるけれど、
どうやら……そうじゃなかったらしい。