似ているけど、ちょっと違う。


先輩は、あんまりそういうこと、面と向かって言わない。




「岳、もう戻って」



ついに痺れを切らして、万里先輩がそう日向くんに声をかけた。


本当にイヤそうに言うんだから、意外で、思わず二度見してしまった。



わがまま、みたいな子どもっぽい先輩は滅多に見ないから新鮮。



知らないあいだにまた、胸がきゅんと高鳴った。




「はーい、早矢くんのカノジョなら諦めるよ」



わざと“カノジョ”の部分を強調して言う日向くんに、先輩は珍しく顔をしかめたけど、「そうして」と言ったあと、日向くんを追い出した。




そのあと……、先輩は残ってくれるのかなって思ったら、フツーに踵を返して窓から飛び降りようとするものだから、慌てて引き止めた。





「ば、万里先、輩……っ、」