誘惑じょうずな先輩。



目を瞬かせながら脳みそをフル回転させるけど、やっぱり真実を聞かないとすっきりしない。



「は、“早矢くん”って、万里先輩のこと……?」


これでまちがってたらとんでもなく恥ずかしい。

けど、それはないってわかってた。



だって、廊下で歩いてるの見かけたってことは、それほどわたしと仲良い人。

先輩しか、考えられない。



「はい、従兄弟なんです」



思ったとおりだったみたいで、何事もなく頷く日向くん。


従兄弟……、なんだ。



言われてみたら、中性的なルックスが似てるような、似てないような……。



まじまじと見てたら、なんだか日向くんの顔がどんどん先輩に見えてきて、首を横に振って先輩を追い出した。



「あっ、もしかして……、香田先輩の好きな人って早矢くんなんですか?」