誘惑じょうずな先輩。



「……なんか汚れを知らなさすぎて、
俺が触れていいのか、わかんねえの」



なに、それ。

意味、わかんない。



なんだか心にグッときて、だけどなにを言えばいいのか思いつかなくて、黙った。



「かわいいよね、香田さんって」



「なっ……!」




急な褒め言葉に、思わず赤面する。


か、かわいいって……。

夏川くんって、……直球男子。



女の子慣れしてるわけではなさそうだけど、無自覚にドキドキさせてくる感じ。

侮れない、そんな感じ。



恥ずかしくなって火照ってるわたしを一瞥して、夏川くんはわたしに顔を近づけた。



「このまま、なんでも出来るんだけどな」


「……へ、」



思ったよりも、本気トーン。



言っている意味がわからなくて、
心は焦るのに体が動かない。



近づく距離が、どうにももどかしい。




「……ちかっ……っ、」




途端に目の前が真っ暗になって。


夏川くんの綺麗な顔が近づいてきて。



そんな、経験ないけど。





……あっ、キス、される。