誘惑じょうずな先輩。



夏川くんってからかったり、本気にさしたり、
……難しい。



「ま、いいや」



ごろーん、とさっきまで銀髪の彼が転がっていたベッドに伏せる夏川くん。


えりあしが立っていることに気づいて、意外で、ちょっと笑ってしまった。



「……なに笑ってんの、」


不審そうな瞳を向けられて、慌てて表情を繕う。


「なんにも、ないよ……?」



きょとん、とわざとらしく言えば、彼は面白くなさそうに唇をとがらした。



「ってかさぁ、いま昼休みじゃないからバンリ先輩来ないよな」



「……?たぶん、」




来ないって保証はないけど、まあ、来る気配はない。

だって、さっき声が聞こえたように、まだ女の人と……楽しんでるんだろうし。



考えたくないのに、思い出しちゃった。

夏川くんのせい。