「看てやって」
つれない態度だけど、別に嫌がってるわけではないことに気づく。
それと、夏川くんが人情深いことも。
ゆっくり近寄って、しゃがんで、ベッドに投げ出されている彼の手を見る。
……ん?これって……。
途端に不思議そうな顔をしたわたしに、
夏川くんは気づいたのか、苦笑してこう暴露した。
「そいつ、猫に引っ掻かれてやんの」
「……やっぱり、」
喧嘩とか、物騒なこと考えてしまったわたしに謝らせてほしい。
……というか、すごい……ギャップ。
怖そうな見た目と真逆で、猫が好きで、しかも威嚇されちゃったというところがちょっと可愛いと思ってしまった。
そんなこと言ったら睨まれるんだろうな、と思ったから言わないけど。



