「これ、どうしたの!?」


私は目を大きく見開く。


「ずっと会いに来れなくて、寂しい思いさせたよね」

「いや、それよりも指輪!」


「バイトで貯めて買ったんだ。
夕蘭と結婚したいから約束早めようと思って。

それでずっとバイトだったから、
病院に来る時間までは作れなかったんだけど
……良かった、間に合って」

「バイト?」


「言ったでしょ、俺に時間をちょうだいって」

「え、でもそれは別れることを考える時間が欲しいってことじゃ?」


「そんなわけないよ。

夕蘭と別れるなんて選択、
俺の人生にはないんだからね」


「なんで……だめだよ、そんなの」


嬉しいけど、私にはその気持ちだけでもう充分すぎるくらいだ。