私はクーポン券を右手で持ち、西原を見る。

「いいじゃん。行ってくれば」

咲はすぐ返事をして、西原と行くように提案してきた。

え?なんで、咲。
私の心境、わかってるよね。
え?どういうこと。

「……いいよ、わかった」

私は戸惑いながらも、咲に言われたら、私は何も言えなくなる。

私は納得出来なかった。

だが、西原に断ろうと意を決した瞬間、西原は言う。

「よし!じゃあ、行こう!」

西原はそう言ってから私の手を取り、教室を出た。

はあ? 私の意思は?
私にも断る権利はあるでしょ。
なんで西原と行く前提になってるの。
私は咲と行きたかったんだよ。

今日は咲が用事があるから、無理だから。
今度行こうと思ったのに、え?なんでー!

「え?いや、ちょっと待って。西原!」

私は状況を整理しつつ、困惑しながら、西原に手を引っ張られて、後ろにいる咲を見る。

西原は私と一緒に行くのが楽しみなのか、ふふんと鼻声でなんの曲かは分からないが、リズムよく歌っていた。

「バイバイ。頑張って!」

咲はニンマリと微笑んで、私に手を振っていた。

私は西原の手を引っ張られて、咲に話など出来ない。

西原は相変わらず、手を繋いで前に進んでいた。

「ちょっ。咲〜!」

私は眉を下げながら、咲をじっーと見つめる。
ただ咲は笑って、私に手を振るだけだった。

なんでよ、咲!
なんか言ってよ、なんで西原と私が行くの止めないの。

「頑張れ!」