『湊先生…最低です!私、こんなに先生を想ってるのに…どうしてわかってもらえないんですか?』


葉子さんは、少し興奮気味に言った。


『あなたにはとても可愛い子どもさんがいます。翔吾君…素直ですごく良い子です。僕のことなんか忘れて、これからは…翔吾君のために…』


『綺麗ごと言わないで!子どもを育てたこともないくせに!私は…翔吾のこと、ちゃんと可愛がってます。それでも…湊先生のことが…好きだから…』


葉子さんは、その場に泣き崩れた。


僕は、子育てを一生懸命頑張ってる葉子さんを、本当に素晴らしいと思ってる。


母親が恋愛してはいけないなんて…


そんなことを思ってるわけじゃない。


でも…


僕にはやっぱり…


桜桃羽さんしか…いない。


改めて告白されて、それが明確になった。


目の前で泣く葉子さんに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


でも、今、この人に優しくする方が残酷な気がしたから…


今日は…


本当の思いを言えて良かったと思った。


それ以上、お互い何も言わず、葉子さんは感情の昂りを抑えられないまま店を出て行った…